私が作った五言律詩(109回目) 春恨
私が作った五言律詩(109回目) 春恨
風軽く 花片片たり
(風軽 花片片)
沙暖く 水茫茫たり
(沙暖 水茫茫)
≪そよ風が吹いて、花がひらひらと舞い散り、
水辺の砂地は暖かく、
江の水は果てしなく流れてゆく。≫
春恨・・・春のもの思い。春のうれい。
片片・・・ひらひらとひるがえるさま。
沙・・・水辺の砂地。
茫茫・・・広々として果てしないさま。
野を見れば 韶華(しょうか)媚び
(見野 韶華媚)
雲を穿ち 麗景長し
(穿雲 麗景長)
≪野原を見れば、春ののどかの景色が美しく、
日が雲を突き抜けて出て、
うるわしい光が長く伸びている。≫
韶華・・・春ののどかな景色。
媚・・・美しい。
穿雲・・・日が雲を突き抜けて出る。
麗景長・・・うるわしい光が長く伸びる。
日東 平世を弄ぶも
(日東 平世弄)
戎馬 未だ休まざるを傷む
(戎馬 未休傷)
≪日本では、
平和な世を弄んでいるように思えるし、
一方世界に目を転じると、
戦争がまだ終わっていないのを憐れに思う。≫
日東・・・日本の別称。
平世・・・平和な世。
戎馬・・・戦争。
此の戦 何れの時にか訖(お)わらん
(此戦 何時訖)
今吾れ 独り康(やす)らかならず
(今吾 独不康)
≪この戦は、いつになったら終わるのだろうか。
今私の気持ちは、孤独で安らかではない。≫
訖・・・事がやみ、おしまいになる。
康・・・苦がなく楽しくて安らか。
下平声七陽韻(茫・長・傷・康)
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